認知再構成法

心理療法・カウンセリングの方法

 認知再構成法(コラム法)は、認知行動療法の中でも最も代表的な方法の1つです。人間の精神現象の中でも、思考の機能を重要視しており、人が憂うつな気分になる過程を、「どんな場面で、どんなことを思い、どんな気分になるか」、状況、思考、気分の3つからシンプルに捉えます。1つの固まったものの見方から離れ、現実的に、柔軟に、色々な可能性、色々なものの見方が出来るようになることで気分が改善していくと考えられています。ここでは認知再構成法の手続きについて解説します。

解説

「状況、気分、思考」をわける

 まずは問題となる場面を1つ取り上げて、「状況、気分、思考」の3コラムを用いて分析していきます。

認知再構成法のコラム

 この時出てくる、ある状況で意図せずに自動的に生じる考えのことを「自動思考」と呼び、この自動思考こそが憂うつな気分を起こす問題とされます。うつ病の人に見られやすい自動思考としては、

• 白黒思考 物事を極端に考える
• べき思考 「こうすべきだ」「こうすべきではない」など自分を制限する
• 過度の一般化 少ない事実から全てを結論付ける
• 自己関連付け 起こる出来事は自分が原因であると思い込む

などがあります。

 コラムは最初からスムーズに書き進められる方もいますが、「状況と思考をわけることが出来ない」「感情を言葉で表すことが出来ない」など行き詰まる方もおられます。カウンセラーに教わりながら練習することがおすすめです。

 気分と自動思考をあげたら、「どれだけ強く気分を感じたか」「どれだけ強く自動思考を確信したか」を0-100で点数をつけます。

自動思考を検討する

困っている気分と、それに最も影響を与える自動思考の関連が把握出てきた後は、その自動思考は妥当であるか、他の見方は出来ないかを検討します。代表的な質問として、

• 自動思考はなぜそうであると言えるのか?
• そうだとしたらそれで何が変わるのか?
• それは自分にとってどんな意味があるのか?
• 世の中の人はこの状況で同じように考えるだろうか?
• 楽観的な人ならどんなふうに考えるだろうか?
• 友人が同じように悩んでいたら自分は何というか?
• 時間がたったらどんなふうに考えているだろうか?

などが役に立ちます

新しいバランスのとれた思考を書く

 もともと持っていた自動思考と、新しく出てきた思考を組み合わせて、バランスのとれた柔軟な思考を書いてみます。この時ポジティブに書き過ぎるとしっくりきません。違う見方が出来ただけで気分は改善することが多く、バランス思考まで書かないことも多いです。この辺のさじ加減が気分の改善と関係する難しいところです。
 最後に再評価してみて、気分が和らいでいたらうまくいっています。不快な気分が0になる必要はありません。思考が柔軟になることで気分が和らぐことを経験出来たらいいです。

対象となる年齢

中高生くらいから。論理的な思考力があるとすすみやすい

対象となる悩み、問題、症状

うつ病、うつ状態、気分の落ち込み、憂うつな気分

参考ページ

うつ病や気分の落ち込み、不快な感情への認知再構成法のすすめ方

この記事の作成

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